こんばんは。こんにちは。当家の文鳥は、というか世の文鳥は、いりことあたりめをあげると大興奮して、咥えたまま飛翔しまくり、唾液を飛ばして喜びます。かわいくてたまにあげています。今日調べて知ったのですが、いりこと煮干しって同じなんですね。西日本は「いりこ」、東日本は「煮干し」。私は西日本ルーツなのでアレを「いりこ」と呼んでいます。これまでの人生、商品パッケージに「煮干し」と表記されているものを、「いりこと何が違うんだろう」といぶかしく思いながら買っていました。
#今更気づく言葉の違い
#泉さんて実はちょっと抜けてるよねってよく言われる
#見掛け倒しの鬼
ノルウェーのアンビエント・ミュージックの鬼才、ゲイル・イェンセン(Geir Jenssen)が、バイオスフィア(Biosphere)名義で出しているアルバムがとても好きなので、今日はそのご紹介です。こんな楽曲が作れるようになったらどれだけ素敵だろうと憧れています。
#BUCK-TICKばかり聴いているわけでもない
初めてちゃんと聞いたのが1997年、アルバム「Substrata」。インソムニアという映画の楽曲を作っていたところからバイオスフィアの存在を知りました。サントラから入ることが結構多い私です。クラフトワークやブライアン・イーノ、日本だと砂原良徳(まりん)などを彷彿とさせる、自然の中に見る構築美に浸るにつけ、増してくる憂いや静けさの表現がとてつもなくうまい。あー、不穏だ。うますぎる!
その後2011年、大きな衝撃を受ける作品「N-Plants」をリリースします。こちらは、今年に入りリイシューされた2023年バージョンになります(これでバイオスフィアを思い出した)。
当時のゲイルのインタビュー記事を漁りまくって、GPTに訳してもらいました。
私は日本の戦後の高度経済成長に触発されたアルバムを作ることに決めました。さまざまな情報を調べているうちに、美浜原子力発電所の古い写真に出会いました。この未来的で機械的なリゾートのような美しい発電所が、これまた美しい海岸に位置していることに戸惑い、興味を持ちました。自分自身に問いかけました。「地震や津波が起こった場合、安全なのだろうか?」さらなる調査を進めると、多くの発電所が地震の可能性のある地域に位置していることや、過去に津波に襲われた海岸に近接していることがわかりました。その未来的なデザインやフォルム、建築、デザイン、ローカライズに集中しながら、潜在的な放射能の危険性(地滑りや地震で冷却装置が破壊されるなど)にも疑問を持ち、いくつかの原発にサウンドトラックを作りたいと思いました。
と言って完成させ、リリースしたのが2011年2月。東日本大震災の1ヶ月前です。N-Plantsとは、そのままNuclear Plantsのこと。
奇しくも、3.11以前と以降の気持ちをアルバムの中に込めることになった、とも言及されています。
震災を予言したアルバムとして大きな注目を浴びていましたが(もちろん予言などではなく偶然だと思いますが)、私自身も相当な衝撃を受けたのを覚えています。そのN-Plantsが今年リマスターされて再リリースされ、楽曲も追加されていたので、改めて聴いてまた唸っています。あの事故が起こってもなお解決に至らない日本の現状を思いながら聴くと、何か不穏な気持ちばかり掻き立てられます。しかし、純粋に音楽として、インダストリアルな美しさと怖さと原発への大きな疑問をしっかり描ききっていることは確かで、忌避せずに是非聴いて欲しいと思います。楽曲には原子力発電所の名前や地名がつけられていて、それぞれの原発の写真などを調査して作ったことが伺えます。発電所の壁の向こうに響くかのような粗いノイズや、バルブから漏れる蒸気のような音が聴こえます。
また、#5 Monju -1や #9 Fujiko など、ドキュメンタリのような日本人の言葉や、サンプリングした雅楽の音色も要所に使われています。。ふじこ??おそらく、#5は峰不二子の声をサンプリングしているような…違うかな。情報がないのでわかりませんでした。そのあたりのセンスは言語の違う国の人が作った、とんちんかんさもありながら、その偶然性が少し恐ろしくも感じるメッセージに化けて見えます。#9は富士山に300回登ったおじいさんが語る言葉が滔々と使われているのですが、それもやや恐ろしい。ちなみに、ゲイル本人も登山家であります。
確かに、原子力発電所の設備だけを切り取って純粋に見ると、目を見張るものがあります。私は基本的に工場景観が好きでたまに見に行ってニヤニヤするのですが、原発の姿かたちも、なんとも言えないインダストリアルな様式美に目を奪われてしまうのが本音です。ただ当然もはや、地震国である日本にとってはそう単純に愛でられる存在では決してなく、早く代替エネルギーを普及させないといけないと思っています。
しかし、電力発電という意味ではまだまだ私達の暮らしも現地の雇用も頼らざるを得ないという、経済成長に邁進しすぎた日本という国の矛盾があります。震災で亡くなった大勢の命を思うと、何も語れなくなります。ただ、人間の歴史の脆弱さ、不安定さ、愚かさ、そして変化ある自然の中に住まわせてもらっている深淵さを、決して忘るることなかれ、ということを静かにリマインドさせてくれるアルバムなのです。
私。それは私。私よ…。
みなさんは、このサンプリングメッセージを聴いて、どう感じましたか?
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