こんばんは。こんにちは。仕事しすぎて思考停止なので、リラックスするためのチル回にしたいと思います。
中二から音楽の世界に急に入り込みまして、ご承知の通りBUCK-TICKを沸点としてロック傾倒していきました。BUCK-TICKをご存知ない方は、その見た目から「激しい」とか「怖い」とか「暗い」とかいうイメージだと思うのですが(間違ってない)、当然そのダークモードに浸ってしまうファンの方々が多いのですが、私にとっては彼らの作り上げていく世界観の太さと、今井寿の「変でありさえすれば幸せ」というクリエイティビティを体ごと楽しんでいたという感じです。なので、私も何か変なことをしたかった。
そんな当時、電気グルーヴにイカれていた悪友がいて、オーソドックスな軽音活動もしつつ、二人で軽音部とは別に「テクノイズ」というユニットを組んでいました。彼女が持っていたローランドのシンセサイザーでの打ち込みテクノ(ローランド JV-1000)と、私のFERNANDESのギター(TEJ-STD)でオーバードライブのディストーションをかけた音をただかき鳴らすというテクノ+ノイズな営みです。
#何してたんだろう
#迷惑だったのでは
機材だけはご立派でしたが、思い返すとただの迷惑行為でした。阿呆でありながら良い時間だったのは確かで、「あの頃に戻りたい」感が強まります。なお、この悪友とは昔から悪いことばかり一緒にしていたので、まともに「言語」を表に出せず、会話は常に「記号」でした。文字通りの記号です。外から聞いている人はなんのことやらわからない、ハイコンテクストを越えたコンテクスト。単語(暗号)の往復だけで会話が成立していました。
#みなさんそんな感じですよね
#私の性格がネジ曲がったのは彼女の影響が大きい
コロナ前は一日中スパでダラダラ過ごす月イチスパ会をしていたのですが、以降まったく会ってないので、ちょっと連絡をとってみようか。
その【テクノイズ】では、迷惑な音をかき鳴らす以外に、電気とB-Tの「ここがいい」をお互いが早口でまくしたてるというオタク活動がメインでしたが、二人が唯一共通して「最高だ」と絶賛して溺愛していたのが「たま」でした。
みなさんがご存知なのは「さよなら人類」の一曲だけとか、ランニング姿のタイコがリコーダーも吹いてるとか、そんな程度だと想像しております。おそらくゲテモノ扱いをしている方も多いかと。または「そんなのいたね」みたいな、一発屋イメージでしょうか? ま、それでもよいのですが、実は本当に天才的な楽曲が多い素晴らしい楽団です。
今でも時折聞いて、エモいエモいと一人で悦に入って、そして時々泣きそうになります。
恐ろしく異質で、つかみどころのない美しい世界をどうぞ。
あんまりの心寒さに
裏庭をほじくり返していると
悲しい色の水が湧いて
あふれるばかりの水が湧いて誰も知らなくなっちゃった
遠い砂漠の隊商が
行列になって汲みにくるよ月夜の公園の鉄棒で
見知らぬ子供たちが並んで
ななめ懸垂してるよ
膨れあがった月の夜だよ僕たち栄養が足りないのです
半分消えかかった身体で
ななめ懸垂しているよ魚で一番悲しい金魚
金魚で一番悲しいらんちう夕暮れの空に金魚を追いかけ
僕らは竹竿みたいな脚を
土手に突き刺してさまよった
パキパキ音立ててさまよった景色がまっかっかに腫れちゃった
そんな寂しい上空で
金魚の記憶が泣いてるよ
金魚の記憶が泣いてるよ「らんちう」たま 作詞・作曲:知久寿焼
昭和の夕方に一人トボトボ帰っていたら知らないおじさんに連れて行かれそうになる感覚。経験したことがないけど、なんだか原風景のように感じる描写。不気味だけど安心する感覚。これで、金魚の中ではもちろんらんちうが最も気になる存在になってしまった。
石川さん(たいこ)の跳躍力がすごい!!
たのしい方向音痴から
ぼくらさびしい迷子になろうよ
誰も知らない玄関の
腐った軒下で泣いていようギロチンにかけられた
人魚の首から上だけが
人間だか人魚だかわからなくなっちゃって
知床の海に身を投げた月の夜だよ
だから
ぼくらの残した涙を集めて
悲しい魚の飼育をしたいなたのしいさびしいうれしいくるしい
気持ちはいつでもとっても不安定
そんな夜にはどっかしらの
薬剤師の内緒のおくすりだよくわかってるのと
よくわかんないのと
ごっちゃになってからまってこんがらがって
富士山のてっぺんに旗を立てちゃったんだよ
だけど
悲しい冷凍たましいは
発熱歯痛にも効き目がありますギロチンにかけられた
人魚の首から上だけが
人間だか人魚だかわからなくなっちゃって
知床の海に身を投げた月の夜だよ「方向音痴」たま 作詞・作曲:知久寿焼
AメロBメロCメロ、全て素晴らしい。歌詞には天才性しか宿っていない。そしてライブの一糸乱れぬグルーヴ(?)。幼い頃何度か迷子になったときに、このまま不思議の国に迷い込んでしまうんじゃないか、自分の家に一向にたどり着かない不安と、でも妙に冷静な自分もいるような、そんな記憶が蘇ってきます。小さい頃の方向音痴って本当に現実との境目がすぐになくなるんですよね。
夕暮れ時のさびしさに金のらっぱを吹いてます
風のささやきかき消して轟く音色に酔ってます
となりのお寺の墓石に今日も真っ赤な夕日が沈む
夕暮れ時のさびしさには牛乳がよく似合います夕暮れ時のさびしさに一人お米を研いでます
いくら研いでも濁る水に時間の経つのも忘れます
となりのお寺のお坊さんたち息を揃えてたいこを鳴らすよ
夕暮れ時のさびしさにはリズミカルすぎる響きです夕暮れ時のさびしさに一人縄跳びしています
スポーツマンシップにのって遠くの海へでかけたいな
となりのお寺のお坊さんたち風船ガムふくらまして空飛んでく
夕暮れ時のさびしさにはちょっと馴染まない風景です夕暮れ時のさびしさに金のらっぱを拭いてます
黒い上等のケースにきれいならっぱが似合います
となりのお寺の鐘がなるとお坊さんたち次々と不時着する
夕暮れどきのさびしさには牛乳がよく似合います
はは 牛乳でかんぱいしましょ「夕暮れ時のさびしさに」たま 作詞:知久寿焼 作曲:たま
この馥郁たる美しい夕日に映える相対的な閉塞感!!こんなに胸が締め付けられる自分の中の「こども」の次元を引きずり上げて表現できるアーティストはこれまでもこれからも、この人たちしかいない。
小学生の頃って、ほんとうにこういう不穏な思い出しかありません。
学校に間に合わない
教科書が見つからない
ノートもどっかいっちゃった
先生に怒られる
かたっぽの上履きで片足けんけんで、、
と思いきや、世界情勢を反映した社会派楽曲でもあるのです。
たまの楽曲はどれもコピーがとても難しかった(やったんかい)。簡単そうに聞こえますが、成立させるのは至難の業です。バンドスコアも「たいこ」とか「かんかん」とか書いてあってめちゃくちゃかわいかったです。
彼らのセンスが分かる方、是非お友達になりましょう。
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