こんにちは。こんばんは。GW明けの一日目お疲れさまでした。いかがでしたか?GWもGWで疲れたかもしれませんが、また通常運転モードで参りましょう。
四季の変節点。冬から春へ、そして初夏へのしなやかな移行。それはホットコーヒーからアイスコーヒーの割合が上がること。自動販売機から赤が消えること。皿洗いがお湯から水にできること。外に干した洗濯物の仕上がりが良いこと。でもなんだか薄ら寒さを感じて靴下はまだ脱げない。厚いブランケットから薄いブランケットに変えることもできない。時々悪夢とともに目を覚ますと、不快な汗がにじむ真夜中もある。雨の中に冷たさが消えない。
遠出をする時は、気温の感覚がつかめないから、お守りのようにストールをバッグに入れる。置いていく勇気はない。普段はチェックしないエリアの天気予報を見てあれこれ考えてもわからないので、外に出てみる。日陰と日なた。風があたる首筋の感触。装いを決めるのは最後は掛けに近い。一か八かで思い切って薄めにしてしまう日は、日が沈んだ後に朝の己の無鉄砲さに後悔をする。日々一度ずつ気温が上下するにつれ、体感覚が敏感になっていく。早く真夏が来れば楽だけど、人間としての生命力を試されている変節点。寒さに強い体に生まれていたらどれだけ楽だったか。
5月はあちこちでどくだみが生い茂り始める。姿形は見えずともその存在に気づくのは、強烈な臭い。薬草としての誇りをこれでもかと撒き散らす。独特な臭いから毒が溜まっているようだ、として「毒溜め」が転じ「ドクダミ」と呼ばれるようになった花。むしろ体の毒素を排泄してくれるのに、迷惑な名前をつけられたものだ。雑草は決まった季節にしっかりと芽を出す。人間が寒いだの暑いだの、毎日の気温に脅かされることとは対照的だ。刈っても刈っても、ライフサイクルを崩すことはない。
往々にして、苦い物や独特の香りのするものは毒出し効果が高いものが多い。耳障りの悪い言葉もそう。受け流したくなるけれど、いつまでも体の中で澱となって貯まる。言った相手は忘れていても、ずっと残り続ける言葉。忘れられない痛み。臭いし、すぐにその場から離れたくなる。駆逐してしまいたくなる。でも、それを薬草だと思ってみたら?「場」に毒舌が放り込まれると「まぁまぁ」と場をいなしがちだが、煎じて飲んでみたらどうなるか。苦いし臭いし、なぜわざわざ飲まないといけないのかと思っても、時間が経つと心が強くなり、なんとなく清々しい気持ちにもなる不思議。良薬、口に苦し。という言葉が私は好きだ。最近はそんな苦い薬を待っている自分もいる。
寒い、暑い、臭い、苦い、うるさい。日常にはいろんな刺激が取り巻く。体と心を守りながら、でも時には毒も敢えて入れてみる。ときには毒を喰らわば皿まで行ってみてもいいかもしれない。生ぬるい日常にするために身を守りつづけるか、痛い思いをしにいくか。不可抗力で身に降りかかることに見えるけど、選択だってできる。
その一瞬一瞬のめぐり合わせが、結局この血を作っている。
季節のしなやかな移行に寄せて。
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