こんばんは。こんにちは。おはようございます。
今日はのんびりと文鳥と過ごしました。人間以外の生き物が、自分の生活に一体化しているのは、ふと我に返ると不思議な気持ちになります。彼をよく観察していると、明らかに何かの意思を持って行動していることがわかります。「腹が減った」が第一優先ですが、それ以外にも自分の巣として決めた場所に潜り込んでその場を死守したり、水浴びをしたくなったら思い切りつねってきます。リラックスしているところを邪魔すると怒るし、寂しい時に見てあげてないと甘えた声を出してきます。生存本能という言葉で理解するにはあまりにもコミカルで複雑で面白いです。
フリーランス仲間のりっちゃん(@ichi_ritsu)がシェアしていた記事を読んで、夜になって「自分はイチ生命体にしか過ぎないモード」に入りました。
#時々訪れる虚無的楽観主義
生命誌研究の中村桂子さんに聞く、日本の息苦しさの正体|「生きもの目線」の哲学
非常に面白くてわかりやすくて、全てをコピペして引用したいところですが、
生きものは非常に多様なのに、すべてに共通性がある。すべての生き物は細胞でできていて、その中には必ずDNAがある。
(中略)
生きものには細胞の中に免疫というものがあります。何が来るか分からないから、あらかじめ全部準備しておくのです。何か異物が入ってきたら、それを担当する係(免疫細胞)がやっつける。ほかは無用ですよね。そうしたら死ぬんです。
活躍するか、しないか分からないものを毎日つくり続けている。これは大変な無駄ではありませんか。でも、それをやってきたからこそ生き続けてこられた。
だから、免疫で我々は守られるようになったんです。自分の身を守るという合理性の陰に、膨大な無駄がある。
だから、その無駄をなくしたら、おそらく人間は生き続けてこられなかったでしょうね。生き物の世界はそういうことはしない。生き続けていくためには、無駄なものをたくさんつくって、毎日死ぬということをやっている。
生き続けていくための無駄。合理性を追い求めるだけでは生き延びることができない。私達は毎日自分の体の細胞が生まれたり死んだりしていることを体感することはできませんが、確実に起こっているんですよね。にわかに信じがたいですが、でも年々外見や体力の老化は自覚できるので、細胞が変わっているのは理解できます。
#残酷な変化
#直視できない
調べると、1秒あたり数百万個の細胞が死んでいるそうです。およそ7年の間にほとんどの細胞が入れ替わる計算になります。7年といえば、私が環境を変えたくなる周期と同じです。ちょっと関係しているのかもしれません。
毎日毎秒無駄なものを作り続けているけれども、それが現在の生きものが生き延びるために最適化された姿ということだと思います。
更に、細胞に入っているDNAの約8%は昔感染したウイルスのDNAだそうです(細菌だったミトコンドリアが、遥か昔一体化した)。1つの細胞の中には、もともと人間ではないDNAが100個いて人間の一部となっているのだとか。
とすると、私たち生き物には境界なんてないのかもしれません。
中村さんの記事にもあるように、他の生きものと境界を定めているのはなんておこがましいのかと。
時折見るお気に入りの動画チャンネル「Kurzgesagt」があります。どれもこれも秀逸なのでご存じの方も多いと思います。最近日本語字幕のものも多くなってきました。こちらは、「あなたとはなんですか?」という究極の禅問答タイトルがつけられています。
あなたとはなんですか?
あなたは何か?
体はあるが全部が本質ではない。どこからあなたではなくなるのか。
物理的にはあなたは細胞だ。数は天の川銀河の星の10倍以上ある。細胞は生き物で、5万以上のタンパク質で構成される。意識も目的もなく、ただ存在する。でも生きている。互いに協力して組織を作り資源を集めたり物を運んだりして真面目に働いている。
細胞は体から外に取り出してもしばらくは生きている。細胞にあなたは必要ないがあなたには細胞が必要だ。細胞がなくなったらあなたも消える。細胞があなたでなくなるのはいつか。提供した臓器は他の人の中で生き続けるがそれはその人の一部になったのか、それともあなたの一部のままなのか。
(中略)
だが時々細胞は壊れ、死ななくなる。生物に定められた自然の摂理「ガン」だ。生物学の掟を破る不死の細胞である。ガンは外敵ではなく細胞の暴走によって生まれる。または自我を持った細胞個人が生きていたいだけなのかもしれない。
では、生物としての細胞の集合体である肉体と、そこに乗っかる「意識」とはどういう関係なのか?この謎はいまだ解明されていないそうです。体と心は分離不可分なように思えますが、この”自分”という”意識体”がたまたま乗車した肉体、というカラクリなのかもしれません。まだまだ謎が多いです。私には、「わたし」という感覚が時折ぐらりと揺れ動くことがあります。
再び、中村さんの言葉。
生きものがなぜ40億年も生き続けてこられたかのかといえば、それはへんてこだから。矛盾を組み込んだんです。合理的にしようとしたり、効率よくやろうとしていたら消えていたでしょう。1つの価値基準で競争して、勝ち抜いたものだけを残そうとしたら、まず消えていた。何でもありなんだよ、と矛盾を抱えてきたから続いてきたんですよね。
つまり弱さや矛盾があったがゆえに続いてきた。私はこれが生きものの本質だと思っているんです。弱さを組み込んだからこそ生きものが続いているのであって、強いことがいいというわけではない。弱さを克服する必要なんてないんです。むしろその弱さをうまく活かそうとすることが、生きのびるための方法ではないかと思います。
弱さをうまく活かすことで生き延びられるという点において、次のBBCの動画を重ね合わせると更に面白くなります。実は生きものは単体で生きられるものではなく、社会学的な意味からではなく生物学的にも生きものはネットワークそのものなのかもしれないと思います。人間だけでなく、動物以外も含めた生きもの全般がそうであるという内容です。
どのように木々は会話をするのか
おそらく何かしらの実験にて実証されている話だと思いますが、ネットワークでつながっているというところに宇宙を感じます。これを見ると、生きものが先にあってそれが生きていくためにネットワークで繋がっているというより、生命体のネットワークがまず先にあって、そのエンティティとしてさまざまな生きものがあるということなのかもしれませんよね。目的を持った個々の要素が生きていくために発生したというより、全体的につながっている大きな生命体の構成が生きているだけなのではないかという気にもなってくるのです。
そうすると、己の実存が急に薄くなり、虚無感に苛まれますよね。そこで次はこちらをご覧頂けますでしょうか。この動画も、めちゃくちゃ好きなんです。
楽観的虚無主義
200兆の1兆倍もの星が私たちのために作られたとは考えにくい。私たちは「意識」を獲得したが、この世界の主人公は私たちではないと気づいただけだった。電子や細胞内の動力源について知ることは素晴らしいが、科学はこの憂鬱を軽減してくれない。
あなたの人生は一度きりで、 それは恐ろしいことだが、あなたを自由にもしてくれる。
私たちの人生が私たちが経験できることの全てだとするなら、重要なのはそこだけだ。もしも宇宙が何の教義も持たないのであれば、 私たちが決定したことだけが唯一の教義だ。もしも宇宙が何の目的を持っていないのであれば、 私たちがその目的を規定することになる。
間違いなく、人類はどこかで絶滅する。だがその前に、私たちは自分自身と私たちを 取り巻く世界の探検に着手する。
私たちは感情を体験する。私たちは食事を、本を、 日の出を、誰かと共に過ごすことを体験する。私たちがこういったことを考えられているという事実そのものが、すでに驚異的である。私たち自身があらゆるものから独立していると考えるのは簡単だが、それは事実ではない。
私たちは宇宙の一部だ。中性子星と同様に。またはブラックホールや星雲と同様に。
実際、私たちは自身の思考と知覚を持っており、それが宇宙の中心器官なのだ。
私たちは宇宙という広大な遊び場の中で、完全に自由であり、どうせなら幸福になることを目指し、 星々にユートピアを築くかもしれない。
宇宙の法則がこのようになっている理由を私たちは知らない。どのようにして生命が存在するに至ったのか、生命とは何か。意識とは何か、私たちは宇宙のなかで唯一の存在なのか、見当もつかない。
しかし、何らかの答えを見出そうと挑むことはできる。
訪れるべき数十億の星々があり、治療すべき病気の数々があり、救うべき人々がいて、 経験すべき幸福感があり、終わらせるべきゲームの数々がある。すべきことはたくさんあるのだ。
あなたはおそらく利用可能な時間のうち、結構なボリュームを使い切っている。もしもこれが私たちの一度きりの人生なのであれば、楽しまない理由はなく、可能な限り幸せに生きるべきだろう。あなたの気分が良くなることをしよう。
あなたが決断したことは、 それがなんであれ、あなたのためなのだ。
この最後の提言がとても良い。というか、ここに戻ってくるしかないなと私も思います。結局はよくわからないので、それを探求しようとしたり、自分で楽しむと決めたりすることが、大きな謎を乗り越える鍵になるのだと思います。
いつか人類に、自分たちや宇宙が存在している理由がわかる日が来るのでしょうか。哲学でもなく思想でもなく、科学的に解明される日は来るのでしょうか。私が想像するに、結論は「特に理由はありません」「なんとなくそうしたいからそうしました」「たまたまできちゃいました」とかにかなりの確率でなりそうな気がしていて笑、であるならば、生命ネットワークを慈しみその上で楽しむことが、ネットワークの生成・発展につながるという、ただそれだけな気がしております。
本ニュースレターのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
🐦 Twitter:@ayakoPizumi
🎧 無限塔の秘密:Spotify / Apple / Google / Amazon
☕️ 活動Link:https://linktr.ee/jediaya