こんばんは。今日は中2ヲタ時代に好きだったアニソンのプレイリストを発見したので、ン十年振りに聞きながら書いております。暗譜してる自分がめっちゃ怖いです。
「グローバリズムの終焉」という言葉が存在感を増してきた昨今です。
仕事で長らく製造業のサプライチェーンマネジメントと貿易管理の「最適化」に携わってきておりますが(実は今も)、この「グローバリズムの終焉」という大きな時代の波は、ちっぽけであいまいな日本の私の日常にも、ヒタヒタと押し寄せている感覚が確かにあります。わかりやすいところでは物価上昇ですね。
グローバリズム(グローバル資本主義)について、最近スライドに落とした一枚があるので、こちらを引用します。今日のPostと違う趣旨で作ったのですが、ちょうどよかったので。
#ちなみにこれ、先日の岡山県新庄村のこども会議向けに作った資料
#狂気の沙汰
#でもこどもたちはちゃんと理解してたと思う
#夢も大事だが現実を知ることも大事だと思うよ
アメリカを始めとする西側諸国は、共産主義を憎みながらも、資源コストや人件費の低い国(主に共産主義国家)の労働力を大いに利用して利益を出してきました。世界には旧ソ連や中国をはじめとする共産主義国家が存在しながらも、実質的にはグローバル資本主義一辺倒になりました。特にアメリカで拡大している貧富の格差が進んだ原因の一つとされています。
もちろん、日本もそのグローバル資本主義を大いに利用して潤ってきた国の一つです。製造業のみならず、私の前職のシステム屋でも、中国やベトナムなど、(当時は)人件費に大きな差があり、優秀な人材の多い国にシステム開発を委託する「オフショア開発」を何度もやってきました。実際、オフショアをやらないと価格競争力のない企業構造に陥っていたので、絶対的推進をしていたのです。それが「発展途上にある国の雇用促進につながる」という大義も作りながら。
サプライチェーンの「最適化」とは一言でいうと、①部品等を調達したり、②部品を製造したりして、③完成品を組み立て、④物流網に乗せて、⑤配送しやすい国に在庫を配置し、⑥販売する、という一連の流れを、最低コスト・最大売上と最大利益を出す(=最適化)ことです。
#一言で言えてないことにお気づきだろうか
こう書くととても単純ですが、①〜⑥を個別に最適化していくと、全体としては最適化されないという事象が発生します。コスト削減だけを追っても、リードタイムが長くなったり品質が悪くなったり、リードタイムを追いすぎると在庫過多になったり、人件費だけ考えて製造国を決めても物流コストが増えたり、輸入関税がかかって価格が上乗せになる、などなど。需要と供給を調整し、在庫はなるべく最小化し、キャッシュフローを最大化にする…というように、あらゆる製造業は「最適化」するために緻密に細かい施策に注力してきたことと思います。そう考えると製造業の組織って生き物のようですね。
さらに国境を越える時というのはまた厄介なことを沢山考えないといけません。旧共産国圏やテロ支援国家にこれ以上の軍事力を持たせないようにするという西側諸国の正義により、安全保障のための国際レジームが組成されていて、加盟国はとても複雑な法規制があったりします。
そんなことをクリアしながらサプライチェーンを最適化するのはかなりハイレベルな話なので、システムを入れて分析して、サプライチェーンを組み替えていきましょうよ、みたいなことを仕事でやってきたりしました。
先の国際レジームというのは純粋な安全保障が名目の法規制だったので、複雑ですが(今思えば)比較的わかりやすかったのですが、「グローバリズムの終焉」、つまり経済安全保障を始めとする脱協調路線が出てきたので、余計に物事が複雑になってきています。
まず、アメリカによる対ロシア輸出規制の強化。これはウクライナ侵攻に関連する話ですが、アメリカだけではなくアメリカ寄りの国は実質的に域外適用になっています。次に、アメリカと中国の覇権争いによる、対中国経済制裁の強化。バイデン大統領に代わってからやや緩和された感もありますが、いまだ継続中。コロナでサプライチェーン危機に陥ったことは記憶に新しく、パンデミックリスクもあります。そして更に、全世界のあらゆる地政学リスクが絡まってきます。
#マジでVUCAじゃない?
対中国といえば、新疆ウィグル自治区の強制労働の人権問題も絡んできて、最近ではユニクロの一部製品に新疆綿が使われているという”疑い”で、アメリカの港まで届いた貨物が輸入差止めになったというニュースは記憶に新しいかと思います。
#いっとき異様にビッグサイズのTシャツが日本で売られていたのはこのため
経済安全保障については、経済安全保障推進法(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律)が今年から段階的に施行されます。また調達における人権デューデリジェンスについては、まだ日本ではガイドラインレベルでしかなく、法規制化はされていないのですが(遅くてダサい)、時間の問題と思われます。ただ、調達サプライチェーンはものすごく複雑でいくつものレイヤ構造になっているので、すべてを調査しつくすのはとても大変そうで現実的ではないように思えますが、いずれ義務になるでしょう。
というように、ただでさえ複雑で解読の難しい法規制が更に増えるだけではなく、強国による明文化されない圧力・見えないルールもあるので、日本は国としても企業としても、法規制は守りつつも、それだけ緻密に守っていればいいという話ではなくなりました。見えないルールの中で、自分たちでビジネスとして向かう先を意思決定していく必要が急激に出てきているなと思います。グローバルでライバルとの競争にどう勝つかという「競争戦略」より、どんな理念を持って生存していくかという「生存戦略」という言葉に近くなってきている気がします。多分、国が企業経営にだいぶ口出ししてくることも想像できます。
#もうだいぶ口出しされてる模様
また、地政学的にアメリカと中国に挟まれている日本は、今後の世界情勢のバランサーとして期待されているところがあるようです。国際社会における役割と存在感もこれから変わってくるでしょうが、強気に出るのは難しい。
ここで一つ思ったのは、「対話の場」を仕掛けていくぐらいしか、状況を打開できないのではないか、それを担えるのが日本なのではないかな、ということです。当事者が認識や関係性を変えなければ解決できない問題だらけなので。
対話の力は本当に偉大です。「本当にファシリテーションする力」を、私も勉強しながら身につけたいなと思っています。
会議や討論などで、司会進行する人が、論点を提示したり、結論をまとめたりすることは、「ファシリテーション」ではない。
それは、論理的な結論を引き出すための「モデレーション」だ。
これでは、結論に参加者が共感することはなく、自発的な活動につながらない。
それでは、「ファシリテーション」とは何か ? これを行うにはどうすればよい?
障害となるものを取り除き、相反する立場を場合によって使い分けながら、
自然な流れが生成されるようにするのだ。
これからの世界情勢は本当に想像ができなくなったと心底思います。グローバリズムに接続しないと生きていけなかった私たちは、これからどんな社会を作っていくのか。ポスト資本主義社会として、古き良き時代へ原点回帰していくのか、全く新しい社会を攻めていくのか。
予測不能すぎて怖くなる時もありますが、世の中の動きを見ながら、一人ひとりが新しい社会づくりを担っていけるチャンスが開かれているとも感じます。私としてはやはり、グローバリズムにちゃっかり接続しつつも、カオスな世界ともMIXさせる楽しい人生を、相変わらずの秩序と混沌のあいだで、ちっぽけに、ささやかに、藻掻いて、作り上げていきたい、そう思います。
今日はマッチョなPostでお届けました。明日は金曜日、駆け抜けましょう!!
本ニュースレターのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
🐦 Twitter:@ayakoPizumi
🎧 無限塔の秘密:Spotify / Apple / Google / Amazon
☕️ 活動Link:https://linktr.ee/jediaya