こんばんは。私はこれを真夜中に配信していますが、夜に読んでらっしゃる方はどなたもいらっしゃらないと思うので、挨拶変えたほうがよいですかね。
業務委託でやっているスタートアップのお仕事で、B2Bプラットフォームの立ち上げをやっております。DXと思いきや、一つの大きな要素に、「業界全体でのSX」も入っている、結構アツいサービスです。というわけで例によってSDGsの流れでもあるのですが、平たく言うとプラットフォームに入ることで、ムダな資源をリサイクルするサービスがついていて、面倒な回収とかを面で引き受けるので、全体効率の高い、なかなか良いサービスだと思っています。
今、猫も杓子もサステナビリティです。グリーン一色です。そういう様々な施策は、もちろん善いコトだということを前提にしてこの記事を書いていることをお断りしておきますが、SDGs施策を実行計画に落とし込んでOKR化され、OKRの達成が死守になり、そうなるとよくありがちな本末転倒パターンに陥ることもあります(詳細は後述します)。
といいますのは、とある歴史のある企業にサービスの提案に行った際に、「自社独自でこれからやることと、このサービスのリサイクルの部分が被るから、利用は難しい」と言われてしまったのです。
「サステナビリティは自社独自でやるから」
これを聞いて、思い出したのが「伊藤レポート3.0」。
下記のポンチ絵(霞が関アート、通称「曼荼羅」)は、レポート本体ではなくレポートの概要資料から抜粋したものですが、思い出したのは、黒く手書きで丸をつけた部分です。
左側の「現状・課題」の方については、
社会のサステナビリティに関する課題は社会共通の課題であることから、セクター内の企業で共通なものとなりがちであり(ハーディング)、各企業の行動が共通化し、独自性を発揮しづらくなることによって、利益の取り合い(レッドオーシャン)に陥る危険性も大きい。
加えて、右側の「更なる取組」の方については、
社会全体や産業構造の変化を視野に入れつつ、長期的な企業価値創造の基盤を柔軟に 形成していくためには、既存の事業領域を超えて、これまで接点の無かった新たな企業との連携を積極的に進めることも有益である。例えば、スタートアップが有するイノベーション創発の潜在力に着目し、長期的に目指す姿を共有できるスタートアップとのチャネルを開拓して、バリューチェーンの革新を図ることも検討に値する。
と、レポートにありました。
前述の経験が、まんまとこのレポートに当てはまってしまい、行動が見抜かれているようで、苦笑してしまいました。伊藤邦雄氏すごいな。利益が出ない領域だけに、利益の取り合いになる姿というのは、想像に難くなかったんでしょう。
これから、あの手この手を使って、「長期的に目指す姿を共有して」、プラットフォーム側に入ってもらうように営業していくのですが、この企業の反応を見て、SXの文脈においても結局競争かよ、と思ってしまいました。
もっと悪い想像をすると、「すでに自分がやっている施策のOKRで、このリサイクル量やCO2排出量削減の目標値を設定して上司からも承認されてしまったから、今更やめられない」という可能性が非常に高いんじゃないかということです。頭では全体最適としても、CO2排出量の削減度合いから考えても、プラットフォームに乗ったほうがよいとわかっていても、会社員ですから、一度企画を通したものを覆すのは、非常に労力がかかってやりたくない、のではないかなと勘ぐってしまいました。
#多分そう
#人は非合理的であり合理的
私みたいな一兵卒サラリーマンでも、当時は事業といえば競争戦略が全てで、それを考えるのがとにかくが好きだったし、自分が立ち上げた事業ではいかに競合に勝つかばかり考えてきたのですが(後半はプロダクトに色々あって負けることが多かった)、この曼荼羅の上部に「気候変動」「人権問題」「生物多様性」「サイバーセキュリティ」「パンデミック」「経済安全保障」と書かれている通りに、今地球は「課題」という言葉では言い表せない、めちゃくちゃ危機的状況だなと思うんです。
#多分
#いろんな考え方があるけど
#これも必然とか言われる可能性もあるけど
当然、SDGsを競争戦略の一環として考えよ、という文脈もわかります。計画の一つのテーマにも入っていると思うので、SDGsネタがない企業はすぐ飛びついてきます。
#やってないとはもう言えないというプレッシャー
#ESG銘柄に入らないと
#楽してSDGs
ただ、一社単独でチマチマやって変わるインパクトが大きくないケースならば、それはもう競争領域ではなく非競争領域なんじゃないかなと私は思っているわけです。大量に廃棄物を出す企業群が、束でゴソッ(タバゴソ)とやらないと、気が遠くなります。ここで差別化してSDGsやってますアピールするフェーズはもう過ぎ去った、と言ったほうがよいでしょうか。ただでさえ遅いのだから、、
一時期は、社会課題を解決することで持続的に成長する事業を開発し…みたいなことを私もしきりに考えていましたし、営利企業である以上、優位に立つ必要があるのもわかります。でも本当に、業界横断という規模で連携すべきだと思います。企業間の派閥を作らず、とっととお上が号令をかけてくれてもいいぐらいです。
SXもまた、DXに引き続き、老舗の企業にとっては変革を迫られるキーワードですが、本質的なことを追求できないもどかしさ、身動きが取れない感、社員のモチベーション、などなどが複雑に入り組んでいて、企業内部が変わるのは相当に難しいと思います。やはりスタートアップや小さな団体が新しい枠組みを作り、既存社会の上にかぶせていくしかないんだろうなと思います。
実現すれば、大きな社会変革になると思いますし、私も様々な形でわずかでも貢献していけたらなと思っています。