こんにちは!みなさま一週間おつかれさまでした。
今日は上野の国立西洋美術館でもうすぐ終わってしまう「ピカソとその時代」展に滑り込みで足を運びました。館内は沢山の人で賑わっていて、ピカソの集客力を改めて感じます。賑わっている場合は全く落ち着いて見ることができないので、エンターテイメントとして楽しんでいます。
この企画展は、ピカソと同時代に生きたジョルジュ・ブラック、アンリ・マティス、パウル・クレー、アルベルト・ジャコメッティらの20世紀の巨匠たちのコレクション(多くがベルリンの国立ベルクグリューン美術館収蔵)です。
日本初公開の作品が多かったのと、また2つの世界大戦に挟まれて生きた同時代の巨匠たちが、お互いに遠くにいながらも刺激を受け合いながら趣向を凝らしたり、自分の流儀を破壊し続けていく様(特にピカソ)を時系列で鑑賞することができ、彼ら一人ひとりのミクロコスモスの中を小旅行しているような、互いに影響を受けていることがほんの少しわかる、そんな時空を超える「連鎖」を感じることのできる、刺激的な内容でした。
ピカソは、生涯に渡って多くの作品を残しましたが、どんどん作風が変わっていったことで有名です。
1881年 生誕
1901年〜 青の時代:青春時代の鬱屈とした思いを青に託して表現
1904年〜 バラ色の時代:恋人ができてハッピー、暖色を中心として表現
1907年〜 アフリカ彫刻時代:アフリカ彫刻に影響されたキュビズム黎明期
1909年〜 キュビズム:極端な解体・単純化・抽象化・多角化で表現
=1914年〜1918年 第一次世界大戦=1918年〜 新古典主義:伝統的芸術(秩序)へ回帰し保守的に表現
1925年〜 シュルレアリスム:人間の無意識や夢の世界を表現
=1939年〜1945年 第二次世界大戦=
1973年 死去(享年91歳)
この時代名称はわかりやすいように後世の人が付けたものと思いますが、コロコロ作風を変えるところになんか親近感が湧きますね。
そして様々な変化を繰り返した結果、あの超大作 1937年の「ゲルニカ」につながっていくわけです。2つの世界大戦を生き抜き、激動の20世紀に苦しみ翻弄されながら、予定調和をぶっ壊し、自らの創作意欲とともに人間の本性を表現し続けた人なのだろうと思います。
#あと女性関係でテンションの上がり下がりが激しい人でもある
※「ゲルニカ」は、現在ピカソの故郷のスペインに返還されたそうです。
今回の企画展で一番のお気に入りになったのはこちら。
#ピカソではない
ピカソとは対照的なパウル・クレーの「Knowledge, Silence, Passing By」(1921年)です。
#ピカソ目当てで行ったのに
#いやピカソはもう色々好きすぎるから
#クレーはピカソに対抗しつづけキュビズムに影響を受けている
いやー、沈黙してやり過ごしながら生きていくことって、ありますよね。そんなに強くなれないし。なんでも毎日元気にできるわけがありません。そんな人間を肯定してくれている気がして、昨日ショックを受けた精神状態がリカバリできた気がしております。この力の抜けた線描、なんとも言えない女性の表情、でもじっと見続けていくと深みを感じる不思議な作品です。クレーにとって女性像を描くというのは、生成の神秘に関わる象徴であり、時折表現されているエロさも、自然の生命の根源という大きな主題の一側面らしいです。
クレーの作品は線が繊細で美しく、とても好きです。
ところで、美術館に通うのは、私にとって色んな意味がありますが、その一つに美術作品を使ったワークショップをやっているので、その自己鍛錬とリサーチも目的の一つです。ワークショップでは、VTS(Visual Thinking Strategy 日本では対話型アート鑑賞と呼ばれている)という、MoMaで開発された手法を一部参考にしながら、「あなたの直感的感性を育み直すトレーニング」ことのできる内容に仕立て上げて開催しています。その名も”Power of Libertas”ということで、本ニュースレターもここから名前をとっています。
#名前に中二臭が強い
最近は自主開催の計画を立てていませんが(いつかやる)、仲間内、サークル、あらゆる組織など、お声がかかれば参りますので、興味のある方はお気軽にどうぞ。みんなで一緒にアート作品を観るというのは、一人で鑑賞するのとは全く違う、唯一無二で一期一会の面白い体験ができますし、更には直感も鍛え直すことができます。
素敵な週末をお過ごしください!明日は朝からPodcastゲストの収録なので、楽しみです!!